東住吉共同司法書士事務所

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東住吉共同ブログ

  

損害賠償をあきらめない(中井)
外出のときに傘が手放せない毎日になりましたね。
空模様を見るとトレッキングに行く気持ちも曇ります。

さて、「おまえのせいや!弁償してくれよな!」とこどものけんかでもおなじみになっている「弁償」=「損害賠償請求」ですが、これは民法709条に「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。

この短い条文の「これによって生じた損害」というのが問題になった判決が最近出ました。
事故当時小学校5年生の男児が放課後の校庭でサッカーの練習をしていたところ、サッカーボールが校庭を飛び出して道路に転がり、ちょうどその道路をバイクで走行していた80歳代の男性の前を転がったので、そのボールを避けようとして80歳代の男性が転倒し、怪我をして入院し、入院先の病院で療養生活を送った後に誤嚥性肺炎で亡くなったという事例です。
この事例の場合、80歳代の男性は「誤嚥性肺炎」が直接の原因となって亡くなっているのです。ご高齢の方が亡くなる原因で多いのは「誤嚥性肺炎」で、高齢になって飲み込みをする力が衰えて、食事もできなくなり、食事ができないことによって体力が衰え、痰などを吐き出すことができなくなって誤嚥性肺炎となるというものです。
裁判でも、このサッカーボールによる事故と「誤嚥性肺炎による死亡」との因果関係が論点になりました。「これによって生じた損害」といえるのか?という問題です。
判決は、因果関係を認め、ただ、やはり「高齢」という部分も斟酌したという判断でした。

事故に遭うまではバイクに乗って元気に日常生活を送っていた人が、事故後、高齢のために怪我の治りが悪く、また、急激な環境の変化で認知症が発症し、長期間の入院生活の間に体力が衰えて死に至るという場合、直接の死亡原因が「誤嚥性肺炎」という診断であるために事故と死亡の因果関係なしと判断されて損害賠償ができないという今までの判例の流れが新しい流れになったように思います。
  2012/06/17
 

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