会社登記の懈怠は誰の責任?(川本) |
不動産登記とは違い、会社の登記には登記期間があります。原則として登記すべき事由が発生したときには、2週間以内にその本店所在地において変更の登記をする必要があり、(会社法第915条第1項)その申請を怠ると(懈怠)過料の制裁を受けることになります(会社法第976条)。
この登記懈怠による過料制裁とはどういったものなのでしょうか?
実際のところ、どの程度の期間遅れで通知が来るのか、どの程度の金額が課されるのか、という基準は明確にされていません。 一般に1年近くまでの懈怠は大目に見てもらえる、金額は原則100万円以下と規定されているが、1〜2年懈怠した役員変更登記は4万円程度、などという話もありますが、各法務局によって期間も金額も異なります。
怠っていた会社の登記を申請した時に、懈怠期間が計算され、裁判所から「過料処分決定通知書」が会社の代表者個人住所宛に送られてくることになります。
*前代表者の申請懈怠は、現代表者が責任を負う。 (大阪高決昭36.4.28) *登記期間内に登記申請をした場合であっても、必要な添付書面を欠き 却下されたために期間内に完全な申請が出来なかった場合でも懈怠責 任を負う。(大決大9.8.9) *申請代理人の過失による登記懈怠は、会社代表者に故意、過失がなく ても、会社代表者は申請当事者として過失があるとみなされ、懈怠責 任を負う。(大阪地決昭6.10.30)
会社の登記懈怠は『会社代表者個人が責任を負う』ことになります。 過料は刑事罰ではなく行政罰なので、会社代表者が前科者になることはないのですが。 期限を遵守することが望ましいということです。
|
2012/09/05
|